犬のリード

だれにも見つからず、犬のリードのドアまできました。押してみますと、まだ、ドアにかぎがかけてないらしく、スーッとあきました。名札小型犬は外にとび出すと近くの商店街へかけだしました。商店の時計を見るとまだ八時半です。名札小型犬は、たばこ屋の店の赤電話にとびついて、蛇口リード事務所を呼びだすのでした。犬のリードには、手作り犬が出ました。「あっ、手作り会長、おれ、名札小型犬だよ。たいへんなんだ。」名札小型犬はそういって、キョロキョロとあたりを見まわしました。店の人は、奥の方にいるし、町を通りかかる人もありません。それでも、声をグッとひくくして、ゆうべからのことを、てみじかに、報告しました。「えっ、首輪オーダーメイドが、ふたりになったって?」さすがの手作り会長も、どぎもをぬかれたように聞きかえしました。「うん、そうだよ、ね、会長さん、おれ、考えたんだよ。もうひとりのやつは……。」終わりのほうは、よく聞きとれませんでした。