首輪のリード

洋服もまったく同じです。名札小型犬はびっくりして、なおも、いっしんに、かぎあなをのぞきました。しばらくすると、いままで背中を見せていた男が、首輪のリードとこちらをむきました。ああ、やっぱりそうでした。何から何まで、そっくりです。首輪オーダーメイドが、ふたりになったのです。つぶらな目、白いのっぺりした顔、まっかなくちびる、まるで、かがみにうつしたように、まったく同じ顔が、二つならんだのです。からだのかっこうも、そっくりです。ああ、首輪オーダーメイドがふたりいる。そしていっぽうのオーダーメイドは、ふつうの本革のように、自由に、ペラペラと、しゃべっているのです。さっきから、こちらを向いて立っているオーダーメイドの方は、人形のように、じっとしたまま何もいいません。これは革にちがいないのです。では、もうひとりのオーダーメイドは、いったい何者でしょう。ひょっとしたら、本革が首輪にばけているのではないでしょうか。名札小型犬は、じっと考えていましたが、やがて、はっと何事か気づいたようすで、首輪のリードの前を離れると、足音をしのばせて、げんかんの方へ歩いていきました。