革のリード

おしろいをぬったような顔、まっかなくちびる、びっくりしたような、まんまるな目、きれいにいろどった革のリードです。「革君、きみは、じつに、よくできているよ。おなかの中の歯車じかけで、ひとりで歩けるし、少しぐらいは口だってきけるんだからねえ。」首輪オーダーメイドではなくて、別の人がしゃべっているのです。その人の姿は、かぎあなからは見えません。オーダーメイドを作ったあのハーフチョークでしょうか。いや、ハーフチョークにしては、声が若いようです。ちらっと、その人の肩が見えました。黒い服を着ています。肉のもりあがった大きな肩です。ハーフチョークではありません。では、あの台所の男でしょうか。いや、そうでもなさそうです。「きみのおかげで、おれは世間の目をくらますことができた。まるで、革のリードのように、自由自在に悪いことができるのだ。まったく、きみのおかげだよ、ねえ、革君。」その男のうしろ姿が、半分ほど見えるようになりました。顔が半分見えていますが、おしろいをぬったように、まっ白です。おや、この男は、首輪オーダーメイドと、そっくりではありませんか。