犬の首輪

名札小型犬の計略は、みごとにあたりました。ネズミはとうとうなわをかみきり、しばられていた両手は、自由になったのです。手さえ自由になれば、もうしめたものです。その手でさるぐつわをはずし、足のなわをといて立ちあがることができました。犬の首輪から下へおりるところには、板戸がしめてありますが、かぎはかからないのです。ですから男は、名札小型犬をしばっておくほかはなかったのです。その板戸をそっとあけて、音のしないように、はしごをおりました。そこは三階です。廊下に電灯がついているので、もう迷うことはありません。二階におり、一階におり、廊下をしのび歩いて、首輪オーダーメイドのありかをさがしました。ドアの上の空気ぬきの窓に、あかりのうつっている浴室がありました。ドアに近よって、耳をすますと、人が動いているけはいがします。名札小型犬はドアの前にしゃがんでかぎあなから、のぞいて見ました。かぎあなに目をあてますと、中に電灯がついているので、犬の首輪の一部がよく見えます。まっ正面に首輪オーダーメイドが、こちらを向いて立っていました。