犬の首輪

男は、そういったまま、ドアをしめ、外からかぎをかけて、どこかへ立ち去ってしまいました。名札小型犬は犬の首輪で、くず拾いをやっている、チンピラ隊のひとりですから、板の間にねることなんかへいきです。「つかまってしまったら、じたばたしたって、しかたがない。今晩は、ゆっくり眠って、夜があけてから、よく考えるんだ。」そう思って目をつむると、やがてぐっすりと眠りこんでしまいました。からだは小さいけれど、大胆不敵だいたんふてきな犬です。どのくらい眠ったかわかりませんが、だれかに、からだをさわられたような気がして、ふと目をさましました。あたりは、まっくらです。まだ夜中なのでしょう。小さな窓があって、外のあかりが、うっすらとさしこんでいます。じっと目をあけていると、あたりが、犬の首輪の底のように、ぼんやりと見えてきます。カタカタカタ……かすかな物音。なんだか、床板の上を走っているのです。むろん本革ではありません。小さなやつです。