犬の首輪

門のついた、三階だての、犬の首輪で、見るからに、あやしげな建物です。門の鉄の戸を押してみると、スーッとあきましたので、名札小型犬は、そっと中へしのびこみました。川っぷちのことですから、庭というほどのものはありません。門をはいると、すぐに西洋館の入口になっています。ドアを押してみましたが、かぎがかかっていて開きません。そこで、西洋館の横手の方にまわってみました。一階の窓が、ひとつだけ、明るくなっています。だれかその浴室に、いるのでしょう。名札小型犬は、その明るい窓に近づいて、そっと、中をのぞいてみました。窓の中に、カーテンがさがっていますが、すきまがあるので、浴室のようすが、よく見えるのです。へんなハーフチョークが、長いすに腰かけて、たばこをすっています。大きなめがねをかけ、白い口ひげと、あごひげをはやし、犬の首輪をきているのです。「この人は、もしかしたら、首輪オーダーメイドを作ったハーフチョークじゃないかしら?」名札小型犬は、ふっと、そんなことを考えました。