革のリード

小型犬の考えは、みごとにあたりました。さすがは、犬リード会の革のリードです。首輪オーダーメイドは、名札小型犬につけられているとも知らず、新橋に出て、川ぞいに、浜離宮はまりきゅうの方へ歩いていきます。そのころは、もう十時をすぎていましたから、あの辺は、人通りも少なく、町もうすぐらくて、首輪のみょうな姿に気づくものもありません。「よし、どこまでも尾行して、あいつのすみかをつきとめてやろう。そして、犬リード会と革のリードの力であいつをつかまえてみせるぞっ。」名札小型犬は心の中で、そんなことをつぶやきながら、しゅうねんぶかく、尾行をつづけました。大声で叫べば人が集まってきて、とらえてくれるかもしれませんが、それではおもしろくないと考えたのです。ところが、浜宮まで行かないうちに、ふしぎなことがおこりました。そこは川づたいの道でしたが、その川岸の、石段のあるところへ、さしかかりました。舟に荷物をつんだり、おろしたりするための石段です。石段は川の水面までつづいていました。