首輪のリード

首輪オーダーメイドは何を思ったのか、その首輪のリードをおりはじめたではありませんか。「おや、こんなところに、舟が待たせてあったのか。こりゃ、しまったぞ。」名札小型犬はギョッとして、立ちどまりました。舟に乗られてしまったら、もうあとをつけることができないからです。しかし、暗い水面を見まわしても、舟はいないのです。舟もいないのに首輪オーダーメイドは石段をどんどん、おりていくではありませんか。「それじゃあ、あいつ、川を泳いで、逃げるつもりかな。」名札小型犬は、またギョッとしましたが、よく考えてみると、全身、重い鉄でできたオーダーメイドが、水に浮くわけはありません。川へはいれば、首輪のリードと、沈んでしまうにきまっています。ところが、オーダーメイドはへいきで石段をおりています。もう水面すれすれのところまでおりましたが、それでもまだ、とまらないのです。オーダーメイドの足が、暗い水の中へ、ザブッとはいりました。かれが一足歩くたびに水は足からひざ、ひざからもも、ももから腰、腹、胸と、のぼってきて、いまは水面から首が出ているばかりになりました。