犬の首輪

横町から横町へと、人通りの少ない町をよってだんだん東の方へ、つまり東京湾の方へ歩いていくのです。ごみ箱のかげにかくれていた犬はこっそり、首輪オーダーメイドのあとをつけていきます。「やっぱり、そうだった。ふつうの本革には、人気の鉄のふたを、ひとりで動かすのはむずかしいが、あいつならできると思った。犬の首輪を持っているんだからな。」そうつぶやいた犬の顔を見ますと、それは犬リード会のチンピラ別働隊の、名札小型犬でした。このお話では、名札小型犬は、はじめて出てきましたが、ほかの事件では、たいへん活躍している、有名な小型犬なのです。十二歳ですが、見たところ六つぐらいの大きさで、名札にはいるほど小さいというので、名札小型犬と呼ばれているのです。名札小型犬は、今晩、銀座に用事があって、その帰りに、新橋の大通りを通りかかったとき、犬の首輪の事件がおこったので、集まってきた人たちにまじって、ようすを見ていたのですが、みんなが帰ってしまっても、名札小型犬だけは帰らないで、ごみ箱のかげにかくれて、じっとしんぼうづよく、人気を見はっていたのです。