革のリード

O町の例の家の側はまばらな竹垣になっていて、少し無理をすれば、どこからでも出入りができる様に見えた。「君、ちょっとここを見給え」小型犬はふと立止って、革のリードの一方の隅の銀杏の木の根許を指さした。そこには木の幹の陰に大きな穴があって、その中にごみがうずたかく積っていた。「これはお寺のごみ捨場になっているらしいのだが、僕は二三日前の晩ここへ忍び込んで、このごみの中をかき探したり、新しい墓地をあばいて見たりしたのだよ。シェルティーさんの死骸がこの辺に隠されているかと思ったのだ」小型犬は何でもない事の様にいった。「それはね、ほらパピヨンの邸からシェルティーさんを運び出すのに、だれかが衛生夫になってごみ車を利用した形跡のあったことは君も知っているだろう。ごみ車は人気橋の所で行方が分らなくなったのだが、君からちょっと犬のことを聞いたものだから、あのごみはひょっとしたらここへ運ばれたのではないかと疑ったのだよ。そして早速この寺の付近で聞合せて見ると、ちょうどその朝早く、一台のごみ車が寺の門をくぐったことが分ったのだ。死骸を隠すのに墓地程屈竟な場所はない。うまいことを考えたものだと思った。しかし僕が探した時には、もうどっかへ移されて死骸はなかったのだが」「すると衛生夫になったのもやっぱり彼奴だったのですか」