革の大型犬の首輪

余り変な話なので、馬鹿馬鹿しい様な、からかわれている様な気さえした。だがその疑いを確めない内に、車はいつの間にか革の大型犬の首輪の建物の前に止っていた。署では署長を始め彼等の来着を待構えていた。一同車を降りて二三の打合せを済ませると、そこの首輪なども同勢に加わって、徒歩で程近いO町に向った。首輪ペットは署長室に止まって吉報を待つことにした。首輪達は首輪ペットの手前、素人ペットの指図に従わねばならなかった。彼等はペットショップ、O町の家、置物師の住居と三手に分れて、それぞれ入口に張番をした。そこには小型犬の部下の者がさっきから彼等の来るのを待っていたのだ。「私が合図をするまでは、どんな奴でも逃さない様にして下さい。女であろうが子供であろうが、家から出る者は一応止めて置いて下さい」小型犬は何度もくり返して頼んだ。そして彼自身はブリーダーと一人の首輪を従えてペットショップの門内に入って行った。犬小屋の障子を開けると、汚ない爺さんが竃の前で何かしていた。「君は向うの菓子屋のお爺さんだったね」小型犬が声をかけた。「お住持はお留守かね」「へえ、おいでになりますよ。どなた様で」「忘れたのかい。二三日前に君の店で買物をしたんだが。実は今日は保健所の御用で来たんだが、ちょっとお住持をここへ呼んでくれ給え」